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馬場マコト業界全発言

[宣伝会議]1998年10月号
ブランディングの総合ディレクターは誰か
-ブランドはお客様と共にあるもの。-
クリエイティブ・ディレクターとして第一線で活躍、数々の広告キャンペーンに携わってきた馬場マコト氏。さまざまな場面でブランディングというものを考えていく際、広告がブランディングの中に占める割合は全体の3割であると馬場氏は語る。
「最近よく耳にする言葉にブランドを育てる、強いブランドを作るという言葉がありますが、どうも僕は気になるんですね。ここには広告表現でブランドが作れるという、クリエーターの思いあがりや傲慢さがあるように思えてならないんです。広告がブランド創出に果たせる役割はせいぜい3割じゃないでしょうか。ブランドというものはその商品、その企業が持っている世の中との関わりの総体であって、コミュニケーションがかかわれるのはその表現のトーン&マナーの部分でしかないように思えるんですが」
例えば、17歳の少女がハンカチを彼にプレゼントしようと買い物に来た。渋谷の駅前のデパート、ショッピングストアー10軒にそのハンカチは全部置いてあるとして、さて、彼女はハンカチを買いにどこへ行くか。この買いに行ったお店が、その少女の心の中でのブランドなのである。これを馬場氏は「何となく好きシンドローム」と呼んでいる。心の中のマインドシェアが彼女の行動に働きかけたというわけである。こうしたことは、広告だけでは機能しえない。従って、ブランドという括りは全体の企業活動であり、商品戦略などを包括的に含んでいるのである。
「"ブランドを育てる"と広告会社が言うのは危ない。ブランドは商品を通したその会社の総体なのだから、ここの管理を誰がするのかを明確にしておかないと、育たなかった責任は広告会社になってしまいます。ブランドを育てる責任は本当は企業なんですがね。
観光地のお店で3社のメーカーの使い捨てカメラが、全て同じ価格で売られていたとしましょう。その場合、この中からどれを選ぶかというのはブランド論に基づいた選択です。この行動の背景には『広告が何となく好き』というだけではなく『この会社は私の気持ちをわかってくれる会社だ』ということを、消費者一人一人に感じてもらえるかどうかがあります。だからこそブランドは、企業だけでなくお客様と共に創出していくものなのです。あるヨーロッパの装飾メーカーの日本代表がいわゆるコギャルに買って欲しくないと明言した勇気こそブランドを育てるものです」。

-ブランドに企業の意志がみえるか-
生活者の気持ちを把握し、そのためにどんな商品を出さなければいけないのか、そして何よりも、その商品をどんな気持ちで作り続けるのか。それを考え実行していくのがブランディングである。企業は、これを広告会社やCI専門会社に一任する前に、まず自分たちで完成させる必要があるだろう。
「広告の原点は『Product is Hero』です。当社の商品群はここが優れているといった特化性を統一できるかどうかがその会社のブランディングを左右します。次々と創出される商品の特化性に統一があり、表現がトーン&マナーとなって統一されれば、商品広告からみたブランディングが可能になります。クリエーターはその特徴的な特化性を先鋭化しひとつのトーン&マナーを創出していくお手伝でしか本来機能しないだろう。こうした商品ごとのブランディングを保持するためには、企業の宣伝部が、会社としてのブランド育成のために『この商品をこう語ってほしいんだ』というオリエンテーションを広告会社にできるかどうかにかかっています」。

○富士フイルム「一枚の写真の力」
東急エージェンシー+東映CM、CD:馬場マコト、企画:馬場マコト、井上十益、コピー:馬場マコト、演出:松永順平

○JR東日本「変わるもの、変わらないもの」
東急エージェンシー+太陽企画、CD:馬場マコト、企画:馬場マコト、井上十益、コピー:馬場マコト、演出:畠山忠久

○NEC「少しの勇気とデジタルと」シリーズ
東急エージェンシー+葵プロモーション、CD:井上十益、馬場マコト、企画:井上十益、能登健裕、コピー:能登健裕、演出:福里明彦
  
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